さてとまる

日々を綴る

紅白

今回の紅白、なぜかすごくよかった。ホールが使えないというハンデのせいもあったのかもしれないが、なんだろう、「音楽への愛」みたいなものをすごく感じたんですよ。
人選が若くて、偏っているという意見もちらほら見ましたが、これはこれで正しかったんじゃないかな。若くて力がある(動員力も含めて)人たちを連れてこないと、成り立たないくらい状況は厳しかったのではないかと思いました。
その結果、アイドルさんから演歌の方まで、ほんとに今の日本の音楽シーンのいちばんおいしいところを誰にでも食べやすいように工夫されていたと思います。たとえばにぎやかで面白い大泉洋さんを白組の司会に連れてきたり、さだまさしさんや玉置浩二さんの歌があったり(二人ともオーケストラをバックにシックに歌っていました。が、欲を言えば「田園」はバンドで聞きたかった)、純烈がリモート握手と称して新しい試み(笑えた)を行ってみたり。坂本冬美さんの曲はタイトルを聞いただけでドキドキしたし(いや、もうあの世界は坂本冬美しか歌えん)、YOASOBIの「夜を駆ける」の歌詞を初めて見て、その世界観に打たれたり(…遅い)。GReeeeNが姿を現したり(本物ではなかったらしいが)、乃木坂46があの人数で小室節を歌ったり(秋元先生、さすが、と思いました。小室ファミリーでもあの人数はなかった。ちょっと感動)、JUJU、LiSA、Superfly、Misiaといったジャパニーズディーバ勢ぞろいだったし、おお、と思ったところが、思いついただけでもこんなに。
だけど、いちばん感動したのは、北島三郎さんが
「若い人の歌はいい」
と言っていたこと。私は自分が年を取っているから余計にそう思うんですが、年を取るとはやり歌の良さがわからなくなっちゃうんですよ。しかし、そこは紅白出場歴を何十回も持つ歌謡界のゴッドファーザー。ずっと自分より若い人たちのパフォーマンスを見ていてのコメントだけに(ちょっと誇らしげに見えたのは気のせいかな)、「音楽への愛」みたいなものをすごくを感じたんですよ。紅白に出るような人はみんな、やっぱり自分の音楽に誇りをもって頑張っている人たちなわけで、その「音楽への愛」っていうのはそれこそ、初めて出る人でも何度も出ている人でもみんな持っている。そしてこの閉ざされた世界に少しでも光がさすように、自分の持つ音楽の力を信じて歌う。そこに老若男女の違いがあるか?みんな音楽をする仲間じゃないか。そんな思いが伝わってくるような紅白でした。
司会者(ウッチャン二階堂ふみさん)とアーティストさんたちの一体感も含め(ファンであることを隠さない)、いいもの見せてもらったなあ、と思いました。

以上。