さてとまる

日々を綴る

幸運

「青天を衝け」終わってしまった。
気付けば吉沢亮の横顔ばかり見ていた気もするが(ほんとに綺麗よね)、世の中の変わり目が青春とシンクロした人々の熱い群像に心を打たれた。
徳川慶喜の生涯を知ることができたのも良かった。ただの卑怯者ではなかった。それまで生きてきた世界が音を立てて崩れていく事実に抗い、時の趨勢で敗者になった。後ろ楯のないなかで、一人で戦うことがどれほどの苦難だったか。草剪くんの、喜怒哀楽を抑えた演技が物足りないと思っていたが、抑えていたわけではなく、殿上人とはああいうものらしい。数多の家臣が自分の一声で動く。だからこそ感情を露にしてはいけない。いや、いい慶喜だったなあ。
血洗島の野良着の藍と青の着こなしも、ほんとに素晴らしかった。このドラマのテーマの一つは「青」だと思う。「青は藍より出でて藍より青し」。渋澤栄一のことよね。最初はお父さん。そして様々な先達から学んで、その先達を凌ぐ人物になった。彼を生涯支えていたものは、北関東の人の実直さだったと思う。
ドラマだからかもしれないが、渋澤栄一の出会う人、出会う人がみんないい人だったのも大きい。と、いうか、みんなが自分より他人の幸せを考えている。そういう人たちに出会えたことが、他にはない、渋澤栄一の大きな幸運だったのでは?
悪い奴の出てこない、爽やかな大河だった。最後まで本当に楽しく拝見しました。