さてとまる

日々を綴る

あのこは貴族

先日、買っておいたレストランのチケットの期限ギリギリで、東京ステーションホテルに食事に行った。私も子どももあんなにゴージャスなところでご飯を食べたことがなかったので、ドキドキ。落ち着かず。ラウンジなんか別世界。お客様のおしゃべりの声が、花の香りのなか、さざなみのように流れていた。さすが伝統のクラシックホテル。思わずクラスを感じ、めまいがした。

その後、東京フォーラムで野外の大江戸骨董市に遭遇し、おお、とか、すごーいとか言いながらお店をひやかして歩き、有楽町へ。「あのこは貴族」という映画を見た。門脇麦さんと水原希子さんの共演で、年頃のお嬢さんのお話。

お客さんはやはり主演の二人と同世代の女性が多かったが、意外なことに、なぜかおじさん率が高い。何を見に来てるんでしょうか。謎。門脇さんが大河やってたから?でもなんかとても不思議な感じがしたわ。

見ていて、図々しいとは思ったが、やはり自分の20代後半のことが思い出され、女の子って大変だよなあ、としみじみ思った。門脇さんが演じる、誇れる職業でもない限り、自分が何者でもない世界に生きている女の子。親の勧める縁談話で、現れるのはほんとに人間なのかしら?と思うひとばかり(そういう人に限って、やたらと前評判が高い)。そこへですよ、高良健吾が現れたら、もう飛び付いちゃうでしょ。

一方で非の打ち所がないような高良健吾も、自分の自由のない人生に苛立っている。エエ氏のボンもたいへんだ。最初から何もかも決められた世界。そこに自分の意志でちゃんと生きている女の子が現れたら。

この女の子を演じている水原希子さんもいい。いつもの華やかな感じではなく、ようやく意地で東京に引っ掛かっている、美人だけど、あと一歩で折れそうな。劇中にも出てくるが、東京って本当にこういう女の子の養分でかがやいているよな。 

結局誰も思ったようにはいかないし、辛い決断をしなければならないし。大人になるって大変ですよ。でも切っていっぱい血が出ても、けろっと治ってしまうのが若さゆえ。

石橋静河さんが収穫。自分のあるアーティストの役がとってもにあっていた。


映画『あのこは貴族』 予告編