さてとまる

日々を綴る

娑婆の味

コロナに罹患して、ようやく明日から会社に行けるとなった日は、バレンタインデーのチョコレートを受け取りに行かなければならない日だった。

慣らしにちょうどいいかー、と家を出てみたものの、咳が止まらず、自分でも

「本当に大丈夫なのか……」

と不安だった。何せこの病気は人に感染するので、医者はいいと言ったが、なるべくしゃべらず、品物だけ受け取って帰って来ようと思った。

それはバレンタインデーの前々日の日曜日であったため、わずかと言えどもお店の前には列ができていた。時間は決まっていたのでその時間になるまで近くの公園で待機し、時間になったらさっ、と予約のチョコレートを受け取った。生菓子も買えるとその場でわかったのだがお話しなければならないので無理。また来よう。

帰りにお腹が空いたので、ウェンディーズでお昼を食べた。タッチパネルでオーダーできるのがありがたい。お話ししなくてすむものね。端っこの席に座って、トマトとレタスとチーズの入ったボリュームのあるハンバーガーとコーラ。だれかが自分のために作ってくれるものはおいしいなあ。元気な時にはなんでもないものなのにね。ちょっと泣きそうになりました。アルコールタオルでテーブルを拭き、食べたものを片付けて、ああ、娑婆に帰ってきたなあ、と一息。

だがしかし早く帰らなければ。

チョコレートもおいしかったですよ。さすがにこれはまずかったら泣くが。

食べることは生きる喜びですよね。